第7話 国際的なはずの翻訳会社にも健在な勘違いなお国イメージ

中学校一年生夏休みに、アメリカのマサチューセッツ州の郊外でホームステイした。
その時、ローカル紙の記者が取材に来た。
「やっぱり、カラテとかできるの?」
という記者の質問に、
「あ、柔道なら9歳から12歳まで習っていました。」
と私は答えた。

数日後、私の顔写真入りのローカル紙が届いた。
「日本人の少女が単身ホームステイ
彼女は日本人だが着物姿ではなくジーンズですごしている。・・・・・
典型的な日本人がそうであるように、彼女もまた小さい頃から柔道をたしなむ。・・・・」
そんなことが書いてあった。
日本人といえばフジヤマ・ゲイシャというようなイメージの方程式って本当にあるんだな〜とびっくりした。

ところが、国際的なはずの翻訳会社の中でもそんなイメージの方程式が健在なことが明らかになったエピソードがある。

私が翻訳会社に入社して数週間すると、同じ募集記事で応募した新入社員がそろった。
中途採用なので入社日がばらばらだったのだ。
そして私にとっては遅ればせながら新人研修が行われた。

「で、うちの会社に入る前は何をしていたの?」
研修担当の女性管理職がたずねた。
「はい、私は高校卒業後アメリカの大学に4年間留学して、卒業してからはアメリカで2年間化粧品の販売をしていました。」
「じゃあ、大田さんは英語が得意なのね。大池さんも英語は大丈夫なの?」
「えっと・・・私はカナダのケベック州に留学していたので、英語よりフランス語の方が・・・。」
「そうだったの。沢崎さんは?」
「はい、私はメキシコの大学に通いながら日本語教師をしていました。英語よりはスペイン語の方が得意です。」
「みんなそれぞれなのね。」
「黒田さんは?」
「私はこちらの入社が決まるまでは長崎にいました。・・・・」
「長崎留学ということは、医学関係?得意な言語はオランダ語ね?」

ん????流れ蘭方示現寛斎か???

黒田さんは下を向いてしまった。
「・・・・・・・・えーっと・・・・・SEやってました。理系なんで外国語はあまり得意ではありません・・・。」

冗談なのか、ボケなのか、誰もつっこめないまま研修は進んだ。

研修が終わって、ランチタイムになった。
丸テーブルでお弁当を食べていると、ドイツ語のバイリンガル校正のスタッフが隣に座った。
彼女は国際結婚していて、苗字がドイツ語なのだ。ふと私は彼女にたずねた。
「あのー、だんなさんってドイツ人なんですか?」
「ドイツ人じゃないんだー。スイス人なんだー。」
それを聞いて、無意識に私は彼女に言ってしまった。
「じゃあ、ヨーデルとか歌えるんですね!」
しまったと思ったときには遅かった。
「んなわけないでしょ!」
皆に爆笑されてしまった。

私自身もフジヤマ・ゲイシャの方程式にしっかりはまっていたのだった。

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ちなみに流れ蘭方示現寛斎は、かなりのメディカル・フェチでも満足できる時代医学小説。
長崎でオランダの医学を修得した江戸時代の外科医が主人公。
医学的な記述がめちゃくちゃ専門的で、ブラックジャックを読んでいる気分で楽しめます。
でも実在の人物のお話だそうです。
私の好きな小説だったので、長崎留学と聞いて、ぱっとこれが浮かんでしまったわけです。

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posted by Emico at 18:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | 翻訳現場のプチ事件
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