第10話 翻訳会社では異色の、ウマつながりで強まったOJT師弟の絆

翻訳会社に入社してから一ヶ月くらいの間、仕事をひととおり覚えるまで、ひとりの先輩についてOJTをしていた。
OJTというのは、実際の仕事を教材としてトレーニングをする研修方法だ。
フジテレビ系ドラマ「アテンション プリーズ」でも、飛行機に乗って実際にお客様と接しながら現場で行う研修をOJTとよんでいたのを思いだされるかたも多いのではないだろうか。
翻訳のコーディネート仕事では、先輩がクライアントから受け取った原稿の翻訳料を実際に自分で見積ったり、内容やスピードを考慮して翻訳者を選んだり、納品されるまでの工程を先輩と一緒に実際に管理したりしながら研修を受ける。

私のOJTを担当してくれたのが小金沢さんだった。
小金沢さんは3歳年上のお姉さんで、清純でまじめな雰囲気のあるかわいらしい女性だった。
とても面倒見のよい先輩で、いつもやさしく丁寧に指導してくださった。
完全に刷り込みの法則で、私にとっては会社での母であり姉である、偉大な存在になった。

小金沢さんは、日本語がまったく話せない外人スタッフにも絶対英語で話さなかった。
「だーかーらー、さん・じ、まで。さんじ、さんじ、そう、三時までにやってくださいね。」
外人スタッフはニコニコしながら、
「オーケー」
と答える。
フロアのあちこちに英語がとびかう環境にあって、かなりユニークだった。

それでも、後で私一人で外人のセクションに行くと、外人たちは言った。
「小金沢さんは日本語しか話してくれないけど、このフロアで英語が一番上手いのは彼女なんだよ。」
一緒に居合わせた営業部員の先輩も言った。
「本当に。小金沢さんの英語の発音はめちゃくちゃきれいだよね。私には到底マネできないわ。」

席にもどって、私は小金沢さんにきいた。
「皆小金沢さんが一番英語が上手だって言っているけど、どうしていつも日本語しか使わないんですか?」
「日本に住んでいる外人は日本語ではなすのが当然じゃありませんか?日本人が英語で話してくれると思うなんてダーメ、ダーメ。」
ほっぺたをふくらませて、小金沢さんは首を横にふった。

そんなある日、小金沢さんが私にたずねてきた。
「沢崎さんて、バッグとかスカーフとか馬柄が多いし、計算機にまで馬のシールとか貼ってるけど、馬が好きなんですか?」
「はい!学生時代にウマ乗ってたんで、ウマすごく好きなんです!!」
すると、小金沢さんの顔がいつになくエキサイティングな表情になった。
「そうなんですか〜!やっぱり動物は大型ですよね〜・・!ウマ、ウマ。かわいい〜ですね〜!」
「えー、もしかして小金沢さんもウマ乗ってました?」
「いえ、いえ、いえ、私はウシなんです。ウシ。」
実は小金沢さんは翻訳会社では異色の畜産の専攻だった。
仕事でめちゃくちゃ尊敬していた先輩ではあったが、その日を境にプライベートでもめちゃくちゃ尊敬する先輩になってしまった。
牛派の先輩と馬派の後輩は牧場つながりの強い絆に結ばれた。
その後ふたりでファームステイにでかけたのは言うまでもない。

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