第12話 チーズのカビのように生き残るのがコツよ。

前職がIT企業の営業だったという営業ウーマンとペアを組んでからというもの、私の会社生活はいろいろと悩みの多い毎日になった。
とはいうものの、私はハイティーンの頃マクドナルドでアルバイトをしていたことがあったので、その経験が役に立っていた。
当時、私がバイトをしていたマクドナルドの支店は殺気だった職場で、新人だからといってノロノロオロオロしていると、
「何やってるんだ!つかえねーなー!」
と罵声をあびせられたり、お客様の席にハンバーガーを届けに行った際に他のお客様が床にひっくりかえしたジュースをモップで掃除でもしようものなら、マネージャーに
「お届けにいつまでかかってるんだ!!さぼってるんじゃねー!!」
と罵倒されるようなところだった。
それでもスマイル0円なので、ニッコリしていなければならなかった。
東大出の新卒正社員もカウンター業務で先輩女子高生やアルバイトマネージャーにどなられて1ヵ月くらいで辞めてしまったりしていた。
でもこのマクドナルドのバイトのおかげで、上司に不条理にどなられてもニッコリ仕事すればお客様に「ありがとう」と言ってもらえることだってあるし、仕事中はキツイけど仕事が終わればめちゃくちゃいい人な先輩だっていることも学ぶことができた。
心の中でムカついていても、泣きたいほどイライラしていても、とりあえずニコニコ仕事をしていれば、お客様や同僚にいやな雰囲気が伝染することはないことも学べた。
この経験が翻訳会社の現場で役に立つことになったのだ。
ちょうどその頃、私をOJTでトレーニングしてくれた小金沢さんも別の新人営業ウーマンとペアを組まされることになって苦労されていた。
私はそんな小金沢さんを遠巻きに見ながら、小金沢さんを見習ってがんばらなければ・・・と自分にはっぱをかけていた。

そんなある日のこと、掃除のおばちゃんが冷蔵庫のところで怒りにふるえた叫びを上げた。
「だれ!!こんなカビだらけのチーズを入れっぱなしにしているのは!!!!!」
おばちゃんは拭き掃除ついでに冷蔵庫も拭いてくれるつもりで冷蔵庫を開けたらしい。
「あのー・・・私のチーズです・・・」
小金沢さんが身を縮こませながらおばちゃんの方に駆け寄った。
「すみません・・・これ、こういうチーズなんです。別に放置しているわけじゃなくって、お昼に食べてるんです。」
「でもなんかカビくさいわよ」
「すみません・・・この黒いカビがおいしいんです・・・」
「あっそう、じゃこのままにしちゃうわよ!ふん!」
「すみません・・・」
フロアにクスクス笑いが広がった。
小金沢さんはDancyuに付箋を貼りながら読んでしまうほどのグルメ。
いつもチーズ専門店で珍しいチーズを調達してはランチタイムのデザートに食べていることは皆が知っていることだった。
外国帰りの多いこのフロアではブルーチーズに驚く人は今までいなかったのだ。

その日のお昼休みに、私がいつものように仕事のことでブルーになりながらお弁当を食べていると、小金沢さんがとなりにやってきた。
「小金沢さん、さっきは大変でしたね。おばちゃんはブルーチーズとか見たことなかったんですね。」
「そのようですね。かなりはずかしかったです。でも今日は白いカビの方も持って来てたんですよ。ブリーチーズ。好きだって言ってたでしょ。一緒に食べませんか?」
「え?いいんですか?」
「だって一緒に食べようと思って買ってきたんですからね。」
「え〜!うれしい〜!!小金沢さん、ありがとうございます!!」
小金沢さんはチーズ専門店の紙袋からフランス直輸入のブリーを取り出して、切り分けてくれながら私に言った。
「最近大丈夫ですか?他の人はニコニコがんばってるねって言ってますけど、私にはなんだか元気がないように見えますよ。つらいんじゃないですか?」
私はブリーを食べる手が止まった。
今まで我慢していたことがあふれ出してきそうだった。
涙がまつげの内側でユラユラと視界をゆらめかせた。
返事をしたらあふれてしまいそうだった。
「でもね、長くいたもの勝ちですよ。カビはカビでもチーズのカビなら掃除のおばちゃん以外は文句言わないでしょ。自分がチーズのカビになっちゃえば、もう誰にも文句は言われないんですからね。チーズのカビのように生き残るのがコツですよ。」
小金沢さんは小声でそんな意味深なことを言って、私の目を覗き込んでうなづいた。
私の頬に涙がつたった。
私は涙を流しながら、小金沢さんに微笑み返して、何度何度もうなづいた。

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実は、私は山羊や羊のミルクを使ったチーズや青カビ系のチーズが苦手で、メキシコに住んでいるときは必ず味見させてもらってから買っていました。
(銘柄だけではわからなかったのです・・・。)
なので、味見させてもらえない日本の大型スーパーなどではチーズを買うときにしりごみしていました。
ただ、フランス産のブリーだけは大好きだったのです。



それで、いろいろチーズ専門店を探していたのですが、めちゃくちゃたよりになるサイトを発見しました!
オーダーチーズ・ドットコム というショップさんなのですが、ひとつひとつのチーズに詳しい解説やレビューがついていて心強いのです。
チーズを使ったレシピやチーズのおいしいお店情報も載っていてるし、チーズアカデミーもあったりして、チーズ初心者からディープなチーズ好きまで楽しめちゃうサイトになっていました。

今私がはまっているデザートチーズも充実で、リピートでおとりよせ必至なチーズがいくつもありました!



ありそうで無かった「チョコレート風味のチーズ」





ラム酒の風味とマイルドなクリームチーズ、香ばしいヘーゼルナッツのスライスが絶妙のコンビネーション





コーヒーリキュールを練りこんだやわらかなクリームチーズの周囲には、贅沢にヘーゼルナッツやチョコレートがまぶされていて、パッと見て高級感あふれるデザートのようなチーズ


おうちのコーヒーブレイクを贅沢なカフェタイム気分に変身させてくれる私のお気に入りチーズ専門店オーダーチーズ・ドットコムはこちら↓



posted by Emico at 13:52 | Comment(0) | TrackBack(0) | 翻訳現場のプチ事件

第11話 ドナドナ ドーナードーナー

ある晴れた昼下がり、
私は直属の上司である反町部長によばれた。
入社して一ヶ月目のことだった。
「あなたもそろそろ一人前になってきたから、今日から独立して営業とペア組んでもらうわね。」
とうとう小金沢さんの温室から巣立つ時が来てしまったのだ。

私がペアを組んだ営業さんは32歳くらいの営業マン。
私より一ヶ月ほど早く中途採用で入社してきたやや新人。
7つくらい年上ではあったが、腰が低いというかなんとなく気弱げだった。

私は彼がクライアントから預かってきた原稿の文字数をカウントしたり、レイアウトの料金を算出したり、発注がかかった翻訳を手配した

り、翻訳原稿の完成までの工程を管理したり、彼がクライアントに納品するまでのプロジェクトの管理をすべて担当することになった。
請求書やDMも私が書いていた。
60名ほどいるフロアにワープロ専用機が2台しかない時代だったので、作業はことごとくアナログだった。
一日に十数件の案件が動くので、仕事の管理には工夫が必要だった。
私は自分の必要な情報をシステム手帳にカード形式にファイルしていき、ペアを組んでいる営業マンと情報を共有するようにした。
クライアントの情報も連絡先や仕事の履歴などをカルテのようにファイルしておいた。
仕事を依頼した翻訳者についても、同じようにシステム手帳のカルテを作ってファイルしておいた。
翻訳の工程もそれぞれの案件ごとに工程表を作って、その日動きのある案件をシステム手帳の冒頭に差しかえてスケジュールを管理した。
他のひとはA4サイズのフラットファイルを使っていたのだが、サイズが大きく、ページのさしかえが面倒なので、煩雑になってしまうこと

が多かった。
そこで、自腹を切って試しにシステム手帳方式にしてみた。
すると、一ヶ所にコンパクトに共有すべき情報がまとまっていてわかりやすいと好評をいただいた。
それをきっかけに、だんだんとチームワークができてきた。
そして数週間後には、他の営業さんから「絶妙なめおとペアだよね」とひやかされるくらいに持ちつ持たれつな仕事はこびができるように

なっていた。
順調な滑り出しのように思えた。

ところが、一ヶ月もしないうちに事態は急変。
突然のペアチェンジとなった。
IT系企業で営業をしていた新人営業ウーマンが私を指名してきたのだ。
直属の上司である反町部長は、すでにペアの営業マンがいるから他の社員とペアを組むように言ったらしいのだが、なぜかその新人営業ウ

ーマンの要望が通ったらしい。

私は荷馬車にゆられる仔牛のように席がえをした。
所詮サラリーマンはドナドナだ。
自分の思惑とは別の次元に働く力で運命を左右される。
そしてこれが私の苦難の会社生活の幕開けとなった。

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私が翻訳者やクライアントの整理、プロジェクトの管理に使っていたのが、フランクリン・プランナー
もともとビジネスのタイムマネージメントのためのシステム手帳なので、工夫次第で使いやすくなりました。
フランクリンプランナーというと、成功哲学のツールなのかなと思うかもしれませんが、私は成功哲学の方は全く気にせずに、使い勝手の良さで選びました。
当時は、今はなき新宿の紀伊国屋のアドホック店という文具屋さんで購入していたのですが、今はネットでも購入できて便利になりました。

特に使っていたのは、 クライアント・プランナー プロジェクト・プランナーでした。↓

 

罫線だけのリフィルでカラー分けできますよ。↓

  

フランクリン・プランナーの手帳は、ポケット・コンパクト・クラシックの3サイズ。
コンパクトサイズだけはバイブルサイズのシステム手帳に入ります。
でも横幅がバイブルサイズよりちょっと広いので幅広なカバーを選ばないとだめなのです。
クラシックとポケットは独自の規格なので要注意です。

初めて使うならスターターキットが便利です。

デイリー・スターター・キット(日本語版)コンパクトサイズ  

ウィークリー・スターター・キット(日本語版)コンパクトサイズ 



システム手帳の使い方はアイディア次第なのですが、システム手帳に書いた目標をこまめにチェックして人生の目標も達成していくノウハウがマンガでわかるユニークなテキスト『手帳で目標を手に入れるフランクリン・プランナー活用ガイド』も手帳好きなら一読の価値ありです。

フランクリン・プランナーの純正手帳カバーにもかわいいデザインのものもあります。↓





現在使っているバイブルサイズのシステム手帳に入るかどうか気になるときは、無料サンプルももらえます。
フランクリン・プランナーのサイトの「資料請求」から請求してみると便利。

でも手帳カバーは、ペンホルダーを自分の使っているペンの太さに2100円でカスタマイズしてくれる手帳・財布・鞄のCカンパニーのシステム手帳カバーが私的には好きなのです。
特に、リフィルがたまってくると洋書のようになるビブロス・システム手帳 バイブル(リング径20mm)ケース付き
はデスクで使うならとっても使いやすいです。


手帳・財布・鞄のCカンパニーのWebショップはこちら↓
手帳・財布・鞄のCカンパニー

posted by Emico at 22:20 | Comment(0) | TrackBack(0) | 翻訳現場のプチ事件

第8話 「ホワイトニング」へのこだわりが翻訳スタッフをも悩ませる

美白は日本女性の美容の重大なテーマのひとつだ。
以前Hanakoに掲載された漫画にもあった。
主人公は、昼間はつばの広い帽子にサングラス、長袖に手袋、ロングスカート、しかも全身くろずくめ
といういでたちで海辺に登場する。
夜になるとノースリーブとミニスカートでホテルバーにあらわれる。
一緒にいる同僚はみんな真っ赤に日焼けしている中、自分だけ肌が白いという優越感にひたる。

別に肌が白いから偉いとか、美しいとかいうわけではないとは思うが、白いことに命をかけている女性もいるようだ。
そんな切迫観念をくすぐるかのごとく、化粧品メーカーはこぞって美白効果のある商品を宣伝している。
問題は、それを海外にもっていくことになった時に起こった。

某超大手化粧品メーカーの美白化粧品の広告を英訳することになった。
担当することになったのは、帰国子女の女性2名とネイティブコピーライター2名。
キャッチフレーズも考える必要があるので、チームでディスカッションしながらスタイリッシュな英訳に磨きあげていくことになった。
こと、キャッチコピーとなると、和文をそのまま英訳するわけにはいかない。
キャッチコピーの英訳では、言葉を翻訳するのではなく、インパクトやイメージを翻訳する必要がある。
英語のネイティブに同じことを伝えるには、まったく違う言葉をつかわなくてはならない時もあるのだ。
そこで、完全にバイリンガルの女性たちと経験豊かでこだわりやのコピーライターたちが担当することになったのだ。

できばえは予想通りすばらしかった。
きれの良い、スノッブでエレガントでスタイリッシュな英語に仕上がっていた。
美しさを求めるワンランク上の女性の購買意欲をかきたてるような文章だった。
スタッフみんなで、「むー、にくいねー」などとうなりながら原稿をまわし読みして、満足した。

・・・ところが、納品するとすぐ折り返しに、クライアントが激怒りで電話してきた。
「ホワイトニングの化粧品なのにホワイトニングという言葉が一回も出てこない!全部誤訳じゃないか!」
それもそのはず。
英語で「ホワイト」というとちょっとまずいのだ。
顔がホワイトというと能面のように真っ白ということになるし、アジア人やアフリカ人の肌をホワイトにするのはマイケル・ジャクソン並みの色素の操作が必要だ。
また肌の色のことなので、言葉の使い方が人種差別的と受け取られる可能性もある。
いずれにしても、良い印象ではないのだ。
そこで英訳では「肌をブライトにする」「クリアーな肌にする」という表現をしていたのだが、どうしても「ホワイトニング」という言葉を使いたいとのことだった。
たとえそうすることによって商品、企業のイメージダウンになろうとも、どうしても「ホワイトニング」でなければならない程の勢いだ。
そこまでして「ホワイトニング」にこだわるか?!
「ホワイトニング」へのこだわりは、これほどまでに人を惑わすらしい。

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何だかんだ言っても翻訳会社の中でもホワイトニングのコスメは人気。
このエピソードのクライアントの商品のように、テレビや雑誌で大々的に広告していないコスメで、優秀なコスメもよく話題に。
特にノーベル賞まで受賞したシミ無色化美白成分「フラーレン」を高配合しているイレイザーは人気でした。

イレイザーの他にもワザありコスメがそろったショップは美・サイエンス
みんながまだ知らないコスメをひそかにおとりよせして、「こんなの使ってるんだけど〜」と知ったかぶりできちゃうのです。

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posted by Emico at 17:32 | Comment(0) | TrackBack(0) | 翻訳現場のプチ事件

第7話 国際的なはずの翻訳会社にも健在な勘違いなお国イメージ

中学校一年生夏休みに、アメリカのマサチューセッツ州の郊外でホームステイした。
その時、ローカル紙の記者が取材に来た。
「やっぱり、カラテとかできるの?」
という記者の質問に、
「あ、柔道なら9歳から12歳まで習っていました。」
と私は答えた。

数日後、私の顔写真入りのローカル紙が届いた。
「日本人の少女が単身ホームステイ
彼女は日本人だが着物姿ではなくジーンズですごしている。・・・・・
典型的な日本人がそうであるように、彼女もまた小さい頃から柔道をたしなむ。・・・・」
そんなことが書いてあった。
日本人といえばフジヤマ・ゲイシャというようなイメージの方程式って本当にあるんだな〜とびっくりした。

ところが、国際的なはずの翻訳会社の中でもそんなイメージの方程式が健在なことが明らかになったエピソードがある。

私が翻訳会社に入社して数週間すると、同じ募集記事で応募した新入社員がそろった。
中途採用なので入社日がばらばらだったのだ。
そして私にとっては遅ればせながら新人研修が行われた。

「で、うちの会社に入る前は何をしていたの?」
研修担当の女性管理職がたずねた。
「はい、私は高校卒業後アメリカの大学に4年間留学して、卒業してからはアメリカで2年間化粧品の販売をしていました。」
「じゃあ、大田さんは英語が得意なのね。大池さんも英語は大丈夫なの?」
「えっと・・・私はカナダのケベック州に留学していたので、英語よりフランス語の方が・・・。」
「そうだったの。沢崎さんは?」
「はい、私はメキシコの大学に通いながら日本語教師をしていました。英語よりはスペイン語の方が得意です。」
「みんなそれぞれなのね。」
「黒田さんは?」
「私はこちらの入社が決まるまでは長崎にいました。・・・・」
「長崎留学ということは、医学関係?得意な言語はオランダ語ね?」

ん????流れ蘭方示現寛斎か???

黒田さんは下を向いてしまった。
「・・・・・・・・えーっと・・・・・SEやってました。理系なんで外国語はあまり得意ではありません・・・。」

冗談なのか、ボケなのか、誰もつっこめないまま研修は進んだ。

研修が終わって、ランチタイムになった。
丸テーブルでお弁当を食べていると、ドイツ語のバイリンガル校正のスタッフが隣に座った。
彼女は国際結婚していて、苗字がドイツ語なのだ。ふと私は彼女にたずねた。
「あのー、だんなさんってドイツ人なんですか?」
「ドイツ人じゃないんだー。スイス人なんだー。」
それを聞いて、無意識に私は彼女に言ってしまった。
「じゃあ、ヨーデルとか歌えるんですね!」
しまったと思ったときには遅かった。
「んなわけないでしょ!」
皆に爆笑されてしまった。

私自身もフジヤマ・ゲイシャの方程式にしっかりはまっていたのだった。

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ちなみに流れ蘭方示現寛斎は、かなりのメディカル・フェチでも満足できる時代医学小説。
長崎でオランダの医学を修得した江戸時代の外科医が主人公。
医学的な記述がめちゃくちゃ専門的で、ブラックジャックを読んでいる気分で楽しめます。
でも実在の人物のお話だそうです。
私の好きな小説だったので、長崎留学と聞いて、ぱっとこれが浮かんでしまったわけです。

ヨーデルで笑いたいなら絶対コレ↓

ヒーロー・イン・チロル(DVD) ◆20%OFF!

美しくのどかなチロルの村を一大観光スポットに変えようとたくらむ悪徳村長とそれを止めようとする村の魔女やトンマな村人たちのコメディーです。
大爆笑のヨーデル絶叫メイク・ラブ・シーンが超オススメのシーンです。

posted by Emico at 18:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | 翻訳現場のプチ事件

第6話 えっ?翻訳会社の社員は瞳がブルー?

念願の翻訳会社への入社が決まり、いよいよ初出社の日が来た。
指示通り、最初は手続きのために総務部に出社した。
「合格して良かったですね!」
試験官だった石田さんが声をかけてくれた。
彼女はショートヘアに濃い目の眉、ぱっちりとした瞳のスレンダーな美人だった。
でもよく見ると瞳の色が妙に黒い。
そうか、カラーコンタクトレンズなのか・・・。
カラーコンタクトレンズをした日本人を見たのは初めてだった。

「それじゃあ、手続きの書類と社内の規則について説明しますね」
丸テーブルに導いてくれた嵐山さんは、亜麻色の長い髪にゆるやかなウェーブのあるトロピカルな雰囲気の女性だった。つややかなマスカラのきいたラッシュの間から深い緑色の瞳がのぞく。
総務といっても、やっぱり翻訳会社はちがうな〜と気後れしながら説明を聞いた。

そしていよいよ翻訳部へ。
翻訳部のフロアの扉を開けると、受付当番の川上さんがすぐに出てきてくれた。
「あの、今日から入社しました沢崎です。よろしくお願いいたします。」
「あっ、よろしくお願いします。じゃあ、ここに座って待っていてくださいね。」
透きとおるような白い肌に黒炭のような黒いセミロングのストレートヘアがサラリとゆれていた。
彼女の涼しい瞳は明るめのブルーだった。
またしてもカラーコンタクトレンズ。

翻訳部の応接コーナーに導かれ、私はどきどきしながら座って待っていた。
ところが、いつまでたっても誰も来てくれない。
そのまま時間がどんどん過ぎていった。
10分、20分、30分・・・

すると、またしても美人の登場。
深煎りコーヒー豆色のワンレングスの長い髪ですっとはなすじの通った川中嶋さんだった。
「すみません、手違いで今日から入社されるっていう連絡が人事からきていなかったので・・・。今企画営業部の部長が来ますから。」
「すみません・・お手数かけます・・・。」
彼女のあまりの美しさに息がつまる思いをしながら、私は頭をさげた。

40分、50分・・・・
待ちはじめてから一時間がたとうとするときに、清楚でかわいい感じの面接官だった女性が登場した。
私の直属の上司の反町部長だった。
「ごめんなさいね。手違いがあって・・・。今日から翻訳企画営業部でコーディネートの仕事をお願いするので、よろしくお願いしますね。」
部長の顔を見て何だかうれしかった。
実は面接の時から、彼女が上司だったらいいのにな〜と密かに憧れていたからだ。

席につこうとしたところで、そばに立っている女性に挨拶した。
「今日から入社した沢崎です。よろしくお願いいたします。」
「あっ、東山さんのおともだちっていう?」
「あっ、そうです。」
「こちらこそ、よろしくお願いします。私はバイリンガル校正の日向です。」
私が志望して不採用になった部署のひとだった。
日向さんは東大卒でイギリスの大学院の留学帰り。小顔で八頭身な彼女のつぶらな瞳はブルーグレーだった。

それから私は翻訳部の人たちに挨拶してまわった。
振り向くひと、振り向くひと美人ばかりで、しかもいろいろな色の瞳。
ただでさえ外見にコンプレックスのある私はめちゃくちゃ気後れしながら、入社初日は終わった。

後でわかったことなのだが、ちょうどこの時カラーコンタクトレンズのモニタリングをしていて、社内の希望者がモニターとして参加していたそうだ。

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ちなみにカラーコンタクトレンズといえば、安心なのがジョンソン・アンド・ジョンソン、シード、チバビジョンあたりでしょうか・・・↓




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posted by Emico at 14:12 | Comment(0) | TrackBack(0) | 翻訳現場のプチ事件

第1話 ナゾの言語の命のFAX

ここは通訳・翻訳を請け負うエージェントのオフィス。
私はここに入社してまだ間もない。
正直いって、まだ馴染めない。
翻訳コーディネーターの先輩たちはカラフルでボディーコンシャスなミニスカートのスーツをまとい、コーヒーを片手に、前髪をかきあげながら、外人スタッフと流暢に打ちあわせをしている。
バイリンガル校正のスタッフたちは、エキセントリックな装いで、話しかけてもあまりにも不愛想。
とにかく皆近寄りがたいオーラを放っている。
しかも新卒者は採用しない会社なので、同期の新入社員というのがいない。
新人は私一人なのだ。
でも、学生時代から夢みていた通訳・翻訳の現場で働けるようになったのだから、とにかく頑張ろう。

そんな ある日のことだ。
一枚のFAXが流れて来た。見慣れない文字。しかも手書きだ。翻訳も請負う広告代理店からの翻訳依頼だ。FAXはいくつかのオフィスを巡って来たらしく、文字はかすれ、FAXの送信記録が紙の隅に幾重にもおりかさなっていた。翻訳業界ではよくあることだ。自分のところで手に負えなくて他のエージェントにマタ振りする。そのエージェントも手に負えないということになると、更にマタ振りするのだ。まるで病院をたらいまわしにされる難病の患者さんのようにだ。

「先輩、これ何語かわかりますか?」
FAXを受け取った担当コーディネーターもさすがにわからなかった。
言語がわからなければ、翻訳スタッフに手配することさえできない。
とりあえず、先輩コーディネーターにきいてみた。
「あら、これはXXX語よ。」
「えー!そんな言語できる翻訳者いるんですか?!」
「うちに登録している翻訳者だと、2人だけいるわ。でも2人だけしかいないから、今すぐに連絡がつくかどうか確実じゃないわよ。スケジュールが空いているかどうかも何ともいえないし・・。とにかく電話してみて。・・・あと、クライアントの御希望の納期はいつかしら。翻訳者が少ないからクイックレスポンスは難しいから。」
「大丈夫です。急いでいないからスタッフに合わせるっておっしゃってました。」
「OK!じゃあ速攻この2人に電話してみて。」

電話をしてみると、片方の翻訳者の登録の電話番号は既に使われていなかった。登録したものの翻訳の依頼が来ないから引越しても新しい連絡先をエージェントに知らせていないのだ。まあ、無理はない。最後の望みを託したもう一方の翻訳者が留守電に応えてくれたのはその日の夕方だった。

「いつでしたら翻訳上がりますか?一枚だけなので、対応していただけると助かるのですが・・・。」
「そうですね。今抱えている仕事の合間にかたずけちゃうようにしてみます。あさっての朝の仕上がりでも大丈夫ですか?」
「もちろん大丈夫です。では、すぐにFAXで転送しますね。」
たらいまわしにあったFAXはかくして翻訳者の手元に届き、コーディネーターもほっとした。これであとは和文になった原稿を待つばかりだ。

・・・と思ったのは束の間、さっきの翻訳者から電話が入った。
「このFAXの内容をクライアントは御存じでしょうか?」
慌てた口調だ。でも何でそんなこと言うんだろうと思った。
「もちろんわかってなんかいませんよ。何語かもわからずに、いくつもの翻訳会社をたらいまわしになっちゃった原稿ですから。それに手書きで読みにくいですしね。」
「だったらすぐにクライアントに連絡してあげて!この人の国で戦争が始まりそうだから、出国できるうちに出国したいそうなの。そして、この手紙に書いてある鈴木さんっていうかたをたよりに日本に来たいから連絡をとりたいっていうFAXなの!しかも日付が数週間前なの!かなり長い間ねかされちゃったみたいだから、とにかくクライアントに大至急伝えてあげて!翻訳料はいらないから!」
おりしも世間では、その国の紛争を盛んに報道している最中だった。間に合わなかったのだ!コーディネーターも青ざめた。

その知らせは、クライアント経由で、その鈴木さんというかたご本人にすぐに伝えられた。

後からわかったのだが、その後もうFAXの送り主との連絡はとれなかったということだった。誰にも読めなかったFAXは、いのちのFAXだったのだ。
翻訳の仕事は時に人の人生も左右する仕事なんだ・・と私は凍りついた。

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何の言語かわからないからといっているようではプロの翻訳コーディネーターにはなれません。
入社したての私は、まず原稿が何語で書かれているか判断できるように勉強を開始。
その時使用した教材は指差し会話帳。
いろいろな言語の文字、いろいろな国のアウトライン、基本単語がイラストで楽しくわかるので通勤時間やお風呂時間にながめてました。



私はスペイン語学科出身なのですが、同じスペイン語の国でも、メキシコ、キューバ、スペインなど国ごとになっているので、国によって言い方が違うこともわかっておもしろいんです。


ワールドカップ対応版、恋愛版、グルメ版などおもしろい視点のものもあるので集めたくなってしまいます。






イタリアの会社に転職した友人に勧めたら、かなり気にいって、必要なページをカラーコピーしてヴィトンのシステム手帳にファイルしていつも持ち歩いて勉強していたのはこれです↓。


今はDSソフトで音声もついているバージョンもあるからもっと便利。



posted by Emico at 18:38 | Comment(0) | TrackBack(0) | 翻訳現場のプチ事件

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